抗癌剤誤投与の件で思うこと。

ニュースで抗癌剤を長期投与したために副作用で患者が死亡とのニュースがありました。まずは遺族の方にはお悔やみを申し上げます。

 

内容的に脳外科医がよく使うテモダールという薬剤です。これは主に悪性神経膠腫というものに使います。

 

現在の標準治療では、摘出術後に放射線を1ヶ月半程度照射しながら同時にテモダール(75mg/m2/kg)も飲み続ける(stupp regimen)。その後は維持療法で5日間テモダール内服(150-200mg/m2/kg)、23日休薬を繰り返す。この28日を1クールとし12回から24回程度(どれだけ続けるかは、決まりはない)継続します。

 

基本的にテモダール単剤は副作用も強くなく、使いやすい薬ですが気をつけなければいけない重大な副作用があります。

 

それは血球減少です。

 

この薬剤が継続できるかどうかの判断は血液検査でこの血球減少を評価します。

 

特に維持療法では容量が多い分、血球減少が出やすいですから長期間飲ませるのは大問題です。

 

今回の件ですが、解説はさておき、、、

 

知らないものはちゃんと調べるか、わからないなら薬剤師に相談していれば、十分防げた可能性があります。

 

基本的に他の科の処方をだすときは、わかる薬剤はいいですが分からないのはちゃんと調べます。分からなければ、専門の科にお願いするか薬剤師に相談しないと、投与量、継続期間のミスが起こります。

大抵はそれで重大な副作用が起こることはほとんどなく、そのまま何と無く問題なくおさまりますが、抗癌剤ステロイド、内分泌系薬剤は中止や、継続によって命をおとす危険もあるので僕たちはとても注意を払います。

 

複数の医師が担当していたが誰も調べなかった。継続するものと思い込んでいた。等いろいろ複数の原因が重なったことかと思います。

 

僕はこの整形外科医達がいい加減であったと言いたいのではないです。

誰にでも起こしうることと考え、どうしたら再発を防げるかに焦点を当てるべきです。

 

この件で気を引き締めて明日からの診療を行いたいと思います。